3.03.2010


文:Calvin Sun
翻訳校正:石橋啓一郎  2010年2月23日 07時00分
ZDNETJAPAN
状況を悪化させないために-イライラしている顧客にしてはならない10のこと
(it系のサポート業務の心得だが、参考になるので、)
動きの遅さやサービスの停止に業を煮やした顧客からの電話を取ったり、その受付をすることが好きなITサポートのプロフェッショナルはいない。この記事では、そのような顧客に対応する際に、避けるべき10の間違いを紹介する。
1.顧客の態度を個人攻撃だと考える
おそらく、あなたが問題を起こしたのではない場合が多いだろう。あなたはただ単に貧乏くじを引いてしまっただけという可能性が高い。しかし、顧客はあなたを、問題を起こした技術を代表していると思っているのかも知れないのだ。自分が手厳しい非難に直面した際には、このようなことはあまり慰めにはならないかもしれないが、それでもこれを覚えておけば多少は違う。もし、問題を起こしているのはあなたではなく技術なのだということを認識していれば、状況に対応し、解決しようとする際に少しは気楽になれるだろう。
2.顧客の怒りの発露を妨げる
私は昨夜、妻の弁当にするサラダを準備しながら、娘に冷静でいることの大切さを教えていた。私がサラダを作る作業に戻ろうとすると、飼い猫のChester(以前の記事で紹介した、ラップトップの問題を起こした猫だ)がサラダを盗み食いしようとしていた。もちろん、私はたった今娘に言い聞かせたことをすべて反故にして、Chesterに向かって悪態をついていた。
技術的な問題についても、常にこれと同じような感情の発露が伴うのだということを認識しておく必要がある。そのような感情の発露を弱めたり、終わらせたりするためにできることはない。実際、もし顧客の発言を途中で遮ろうものなら、あなたは相手をより感情的にさせてしまうだろう。感情の発露にわいせつな表現や、個人攻撃、嫌がらせなどが含まれていない限り、単に相手に一通り言わせてしまうというのが一番よい選択だ。それが一段落すれば(単に息継ぎをするためだったとしても、相手もいつかはやめる必要がある)、問題について理性的に話し始めることができる。
3.感情を無視する
顧客が問題にぶちあたると、常に感情的な反応が起きる。この反応がどの程度のものかは、当然ながら問題の性質や影響に依存する。個人的なPowerPointについて、土曜日の朝に問題が起きた人は、最高経営責任者(CEO)へのプレゼンテーションの1時間前に問題が起きた人よりも、感情的な反応は弱いだろう。コンピュータ関連の問題の感情的な側面を無視するITアナリストは、顧客とより多くの問題を起こすリスクを冒している。
対応を終えたときには、あるいはまだ対応中の場合でも、一呼吸置いて「お困りだったでしょう」「これがお客様にとって大切な問題なのは承知しております」と声を掛けるのがいいだろう。このことで、顧客の感情をなだめることができる。これによって、あなた自身も助かるはずだ。後になって、あなたが望むように素早く、あるいは上手に問題を解決できなかった場合でも、顧客はそれを大目に見てくれる場合が多い。逆に、顧客にこのような気遣いを示すのを怠った場合、技術的な問題が解決されても顧客は満足しないという結末を迎える可能性もある。
4.技術的な問題にのみ集中する
問題の技術的な側面のみを重要視するITアナリストがあまりにも多い。そのようなアナリストは、アプリケーションを動かしたり、ネットワーク接続を高速にしたり、プリンターに印刷させたりといったことだけを考えている。確かに顧客は技術的な問題を解決したがっているが、それと同時に、実際に問題が起こり、それによって不都合が起こったということをこちらに認めさせたいのだ。もし技術的な問題だけを重視して、顧客に迷惑を掛けたということを認識し、それを相手に伝えることをしなければ、技術的な問題が解決しても顧客は満足しないままだろう。
5.「自分VS相手」という構図にはまる
問題が生じた結果、IT担当者と顧客が相手に責任を押しつけ合う敵対関係になってしまうことは非常に多い。これによって余計なストレスが生まれるだけでなく、問題解決も遅らせてしまう。顧客の問題を解決したいという気持ちに、できるだけ素早く集中すべきだ。これによって、その問題をあなたと顧客の共通の敵にすることができる。皮肉なことに、これによって顧客との間に絆が生まれる場合もある。
6.相手を主語にした表現を使いすぎる
相手を主語にした表現を使いすぎると、否定的な反応を引き出し、顧客を身構えた気持ちにさせてしまう場合がある。表現を受け身の形で言い換えるか、代わりに「私」を主語にした表現を使うことを考えるのがいいだろう。例えば、「(あなたは)文書をバックアップしていなかったんですね」(そもそもユーザーがそうすることは想定されていなかったかもしれない)という代わりに、「文書はバックアップされていなかったんですね」と言った方がよい。あるいは、「(そちらが)もう少し大きな声でお話ください」という代わりに、「(こちらが)お話が聞き取りにくいのですが」という表現を使ってみてはどうだろうか。
混乱しやすい(したがって、問題の悪化につながる)別の問題に、相手をコンピュータに擬した表現がある。「あなたにはメモリの問題があります(“You have a memory problem.”) 」と言うのではなく、「あなたのコンピュータにはメモリの問題があります(“Your computer has a memory problem.”)」とより正確に言った方がよい。
7.不適切な振る舞い
ここで言いたいのは、「その種」の振る舞いのことではない。私が言っているのは、もっと罪のない、しかしやはり問題を悪化させる可能性のあるものだ。自分の車を修理屋に持って行った時、整備スタッフがボンネットを開けて中を見て、口笛を吹いたとしよう。私の経験則では、その口笛の長さと請求書の数字の大きさには相関がある。その口笛を聞いたら、顧客は財布の中身が気になり始めることは疑いない。
同じように、顧客に対して問題について説明する際の振る舞いには、気を遣う必要がある。顧客がやるべきバックアップを怠っていたということもあるだろう。データベースは間違ったデータを入力していたということもあるだろう。髪をかきむしりたくなっても、目を白黒させたくても、あるいは単に叫びたいという場合でも、そうするのは避けるようにすべきだ。同様に、「それは本当ですか」と言ったり、イライラして「嘘でしょう?」と言ったり、車の整備スタッフのように口笛を吹いたりすることは避けるべきだ。顧客はあなたに助けを求めているのだ。間違った振る舞いをすると、相手の気持ちを逆なでしたり、怒らせてしまったり、信頼を失ったりしてしまうかもしれない。
私は、状況をオブラートに包まなくてはならないと言っているのではない。問題が深刻であれば、そう言えばいい。ただし、できるだけ分別のある態度で。
8.顧客に落ち着くように言う
火を消そうとして、ガソリンをかける人はいない。しかし、顧客に「落ち着いてくれ」と言うことは、それと同じことだ。それで顧客が落ち着くことはない。実際、顧客は自分が腹を立てていることを、腹立ち紛れに否定するだろうし、その指摘によってより腹を立てることだろう。
頭に来ている人は、インフルエンザにかかっているようなものだ。彼らの怒りは、とにかく一通りの症状を経る必要があり、その後でしか相手と理性的に対応することはできない。私が教えてきた顧客サービス教育コースの研修生で、「落ち着いて欲しい」という言葉が実際に役に立ったと言った人は1人だけだった。分の悪い賭けだ。この言い回しは使わない方がいい。
9.「動揺する(upset)」の同義語を使う
われわれは皆スラングを使う。しかし、「動揺する(upset)」を意味するスラング表現を使うのは避けるべきだ。顧客と話しているときには、決して、相手の状態を指して次のような表現はしてはならない。
  • Freaking out(薬物でトリップする、イライラする)
  • Flipping out(舞い上がる、興奮する)
  • Bent out of shape(酔ってフラフラになる、怒る)
これらのスラングを使うと、状況を真剣に考えていないと取られたり、からかわれていると思われたりする可能性がある。これらの表現は、顧客以外の人(例えば同僚)と話している場合でも避けた方がいい。その言葉が顧客に伝われば、問題が起きかねない。
10.物理的な位置取りの利点を生かすのに失敗する
イライラしている顧客に対面で対応する際には、上手に物理的な位置取りをすべきだ。もし立っているのであれば、座る場所を探すべきだ。座ることは平和的な状態を意味する。これは、その状態から戦うのが身体的に難しいからだ。席に着いたら、障害物を取り払う。もしあなたがデスクやカウンターの反対側にいるのであれば、そこから出てきて、顧客と同じ側に座るとよい。2人で文書や地図、図表を見ているのであれば、相手と同じ方向を見る位置に着くのがよいだろう。これらの行動はすべて、あなと顧客は同じ側に立っているというメッセージを送るものだ。


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