4.06.2011

孫正義氏、原発反対を表明

4月3日、ソフトバンク・孫正義氏の主導のもと、原子力資料情報室で解説を担当している2人の技術者を呼んで対談が開かれた。
田原総一朗氏も出席していたが、技術的説明の理解が殆どできず、「自分は原発推進に賛成だ、2人の技術者は原発反対の立場なんだろう」と言い放って途中退席した。

2人の技術者を先ず紹介しておこう。
後藤政志氏:元東芝原子炉格納容器設計者で福島第一原発の沸騰型原子炉のものと同タイプの格納容器を設計した経験者だ。
田中三彦氏:元バブコック日立技術者で福島第一原発の4号機の原子炉圧力容器を設計した。全般のエンジニアリングも担当した経験あり現場の技術者として深い知見を持っている。

3時間近く熱心な意見交換がされたが、孫氏はさすが技術者だけあってこの2人の技術者の説明を殆ど完璧に理解したようだ。
この対談で孫氏は自らの原発反対の立場を明らかにした。
「1年前は原発はやむを得ず必要だと思っていた。震災後、従業員と一緒に福島第一原発の30K圏内にガイガーカウンターを持って入った。測定値が上限を超え鳴りっぱなしだったが、そこには外で走り回る子ども、生活のため自転車で走るお年寄りなど危険にさらされている住民の姿があった。これを見て大変だと思った」と語っている。

孫氏は100億円の寄付もしている。対談の過程で本当に熱心に聞き理解しようとする姿勢が現れていた。
2人の技術者により政府・東電・保安院・原子力安全委員会・御用学者(このグループを「原子力村」と云う)がほとんどブレーキがない車のように独走し、情報を隠ぺいしたり強引に事を進める実態が明らかにされた。
これに応えて、孫氏は「原子力村(利益共同体)の実態がよく分かった。過去の通信業界と良く似ている。だから、この独走を止めるのは容易ではないことがよくわかる。原発の問題は国民投票でもしない限り止められないだろう。いまこそ国民投票に託すべき時期ではないか」と語っていた。

いくら苦手であっても、原発の技術的解説が理解できないと「自分で情報を集め自分の頭で考え自分で行動する」という事にならない。田原氏のように分かろうとしない人、孫氏のように一生懸命理解に努め人命尊重の立場から行動する人、人それぞれいろいろあるが、「自らの身を守ることができないで他の生命を守ることはできない」というのが原発の問題では特に重要なポイントだ。

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