4.07.2011

新学期・・・人間ができる限度  ー武田邦彦

全国各地で新学期が始まろうとしています。そして放射線の強いところも新学期に入る学校がほとんどのようです。それは、教育委員会が国の判断をそのまま取り入れて「安全だ」としているからです。
でもこの問題は「安全かどうか」ではないのです。

これについてのわたくしの見解をぜひ述べたいと思っています。
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日本の法律では、1時間に0.6マイクロシーベルト(外部被曝と内部被曝の合計)を越えたら、そこを「管理区域」に設定して、掲示をし、一般の場所と違う取り扱いをします。


つまり、幼稚園、小学校、中学校で1時間の放射線が0.6マイクロシーベルトを超えている場合は、次の標識を学校の門に張ってください。

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驚くべきことに学校が管理区域に入っているところが多いのです。

この場合、「安全かどうか」ということは議論するべきではないのです。 法律的にある放射線を越えたら、管理区域にする必要があり、「学校に立ち入るには、本人の同意はもちろん必要ですし、みだりに人を立ち入らせてはいけない」のです。


学者の中には、放射線は害にならないとか、放射線を浴びた方がむしろ健康になるとか、プルトニウムを食べても食塩より完全だという先生がおられるのは事実ですが、それは学説です.学問の自由ですから、何を言ってもかまいません。
しかし、次のことはハッキリしています.

1)   安全かどうかは別にして、1時間に外部被曝と内部被曝の合計が0.6マイクロシーベルトを越えたら、標識をつける、
2)   学校にみだりに児童、生徒を立ち入らせてはいけない(もちろん、幼稚園、保育園、高等学校、大学も)、
3)   教育委員会は政府と独立であり、それでこそ児童生徒を守ることができる。

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もう一つの問題を指摘します.
人間は「自分で選択できるもの」はある程度危険なことも許されます。しかし「強制的に全員が行うもの」については、一人残らず、全員が危険を冒すことについて同意する必要があります。


学校では、児童、生徒は先生の命令のままに行動しなければなりません。従って、教育委員会も先生も、管理区域に入るところでは、児童、生徒を強制的に校舎に入れることはできないのです.権限はないのです.


保護者の方も、ご自分でご判断できることではありません。お子さんの健康はお子さんのものであり、お子さんを勝手に管理区域に入れることは保護者でもできないと私は思います。


一体、誰のための教育なのでしょうか。教育は児童、生徒のためであって、教育委員会のためではありません。


人間には、命令できることの限度があります。児童、生徒は「物」でしょうか?


(平成2346日 午後6時 執筆)

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