豊橋技術科学大学(愛知県豊橋市)の大平孝教授(57)は27日、路面に埋設した電源板から高周波電流を流して、市販のタイヤを通じて送電する実験に成功したと発表した。
タイヤのゴムは電気を通さない絶縁体だが、電波の性質をもつ高周波電流は離れたところに流れやすいことを利用した。将来的に電池のいらない電気自動車の開発に道を開くもので、こうした方式は世界でも例がないという。
「電化道路電気自動車(EVER)」と名付けたこの方式は、路面から直接高周波電流を送ることで、タイヤに埋め込まれたスチールベルトを通じて、車のモーターを動かす仕組み。一昨年暮れから研究を始めた。
クリーンエネルギーとして脚光を浴びる現在の電気自動車は電池が重く、航続距離も短いという難点があるが、この方式は電池が不必要か必要最小限の大きさで軽量化が可能になるうえ、航続距離の心配がなくなるという。ただ、道路に電源を埋設するコストが大きいといった課題もある。
来年中には電源を埋設した試験路を造り、実際の車を走らせる実験に着手する。大平教授は「5年後には実用化したい。工場や空港内など決まったコースを走る運搬車両、路線バスなどには導入しやすいのでは」と話している。
研究成果は、7月5日に横浜市のパシフィコ横浜で開かれる「ワイヤレステクノロジーパーク2012」(情報通信研究機構など主催)で発表される。
(2012年6月28日10時32分 読売新聞)
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