2.09.2010

ゆうちょ銀行による米国債購入容認 (亀井大臣発言)

http://www.tomabechi.jp/archives/50986710.html
ドクター苫米地

ゆうちょ資金で米国債を購入することは、時限爆弾に火が付くと書いたが、これはどういうことか。「洗脳支配」で詳細を解説したが、読んでない人に簡単に説明する。雪山で携帯で一気に書いているので、乱文はご容赦を。

まず、新BIS規則が日本に強要されたことにより、実質利回りが変動する国債は市中金利との逆ザヤリスクがある為、かつての国債の重要引き受け先であった民間銀行での購入は難しくなった。唯一、ゆうちょ銀行のみ、この規制の例外になっている。円発行のための日銀保有を除いて、ゆうちょ銀行が事実上唯一の国債引き受け先になっているのはこのためである。というよりゆうちょ銀行に民営化後も国債を引き続き引き受けさせるために当時の財務省が新BISの対象から外し、郵政民営化法でゆうちょ銀行の資金運用先は「国債、地方債、政府保証債と銀行預金」としたのである。

因みに、現在の郵便貯金180兆円はかつては、資金運用部特別会計と言われていたもので、資金運用部がなくなり、現在の特別会計となって、現行の特別会計総額170兆円の原資のうち150兆円は、郵政民営化法に従ったゆうちょ銀行による国債購入である。

では、亀井大臣発言のように郵政民営化法の考え方を覆して、ゆうちょ銀行に米国債(米国財務省証券)の購入をさせるとどうなるか。もしくは、ゆうちょ銀行を新BIS規制の対象として新BISが言うように「利回りが低いリスク商品」である国債を、ゆうちょが大量保有できなくするとどうなるか?

以下が私が2年前に予見した事態である。「洗脳支配」から、

「郵政民営化と新BIS規制。このふたつの仕掛けによって、ゆうちょ銀行の預金がアメリカの財務省証券、もしくはアメリカの投資銀行が仕掛けた海外金融商品に換わる日はもうすぐそこです。そして、日本という国は、国債の消化ができなくなり、国債相場の暴落の日をひたすら待つだけといえます。これは、金利の上昇と強烈なスタグフレーションを引き起こします。そして何よりも、一般会計と特別会計合わせて実質300兆円という日本の国家予算の原資の3分の2である200兆円がなくなるということです。国家は破産し、民間は大不況となり、国民はハイパーインフレに窮するでしょう。」
まさに、私が当時危惧した通りの事態になりつつある。

ゆうちょによる米国財務省証券の購入は、日本人が郵便貯金することで、アメリカ財務省に税金を払うことになるばかりでなく、日本国債が暴落し、日本が財政破綻する道に間違いなくなるということである。これが私が言った郵政民営化と新BIS規制による時限爆弾であった。ゆうちょ銀行による米国債購入容認発言はまさに時限爆弾のスィッチを押したことになる。

明らかに、米国政府からの強烈なプッシュがあったことが想像されるが、なぜこのタイミングなのか。

現在、米国の機関投資家は中国経済が早ければ今年の7月、遅くとも今年の11月にクラッシュすると見ている。中国は北京オリンピック、上海万博と好景気を演出してきたが、これが夏まで持たないというのが、米国有識者の共通見解である。

中国経済がクラッシュすると、米国財務省証券の3分の2は、現在中国が引き受けているのであり、これが消化されなくなる。となると米国は財政破綻である。これを避けるために、日本のゆうちょ預金180兆円で米財務省証券を購入せよということである。ゆうちょ銀行が保有する日本国債はリスクマネーであるから、新BIS規制に則って、より利回りが高い上、リスクの低い米国債で150兆円を運用せよという経営上「健全な」選択をせよということだ。

早ければ、7月には中国経済のクラッシュが予想されている為、緊急にゆうちょ銀行に米国債の購入を進めさせる必要があるわけだ。特に7月は衆参両院の同時選挙が予想され、政治的空白が予想されるために今のうちに日本政府にこれを確約させる必要があったのだ。

問題なのは、これでアメリカの財政破綻は一時的に避けられるかも知れないが、先に日本が国債が消化できずに財政破綻する。また、かつて、宮澤首相が財務省証券を売りたいと言ったら、「それは宣戦布告とみなす」と言われたように、米財務省証券は一度買ったら売ることが許されない。まさに米財務省に税金を払うのと同じなのだ。

ゆうちょ銀行に国債以外の購入をさせることはこういうとんでもないリスクがあることをよく分かった上で、国会でよくよく審議してから、結論を出すべきである。米国財政破綻は日本経済のためにも避けねばならないが、そのために日本が財政破綻しては本末転倒だ。

特に現在、ドルは90円ぐらいを無理やり演出しているが、夏から冬にかけて中国経済がクラッシュした場合は60円台まで一気に下がるだろう。その場合はアメリカ国債が日本国債よりいくら利回りがいいと言っても、為替差損でゆうちょ資金が三割から四割目減りする。亀井大臣はああ発言したが、現在はドル建て債券を購入するには最悪のタイミングだ。どうしても米財務省証券をゆうちょ資金で購入せねばならない場合は絶対に円建てで購入せねばならない。

ゆうちょ銀行の預金は国債以外は買ってはならない。このメカニズムを日本の国会議員はよくよく理解した上で、国会で徹底的に審議して欲しい。今回の亀井大臣の発言の前に国会でこのことが全く審議されていないのは、大変な、大変な問題である。

http://www.tomabechi.jp/archives/50986710.html
ドクター苫米地

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